理学療法士の文献整理棚

リハビリ関係のアウトプット

小脳病変の機能予後〜国内の報告〜

 

脳卒中の中でも小脳病変は予後が良いとされています

 

急性期では嘔気が強く離床できない症例が亜急性期になると嘔気が減り、グンとADLが上がるなんて症例を経験します

 

今回から数回にわたり小脳病変の予後について考えていきたいと思います

 

初回は国内における小脳病変の予後に関する報告を確認していきます

 

 国内の報告は少なく20年以上も前のものになります

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/15/2/15_2_104/_pdf

 

 Jstageよりフリーアクセスですので、是非原著を読んで頂ければ幸いです。

 

 

対象は小脳梗塞または小脳脚に病変を含む脳幹梗塞が認められた47例です

 

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上記原著より引用

内訳は上図の通りです

 

四肢の運動失調は32例(78%)にみられ、9例が1年以上持続した予後不良例でした

特に予後不良例は上小脳動脈(SCA)領域の病変に認められ、歯状核と上小脳脚といった小脳から大脳への遠心路に関わる領域が関係していると述べています

 

 

この報告から小脳病変でも部位によって症状だけでなく予後にも差異があることが示唆されます

 

なぜこのような差異がでるのか、これには小脳の機能解剖が手がかりになるかもしれません

 

次回は小脳病変の予後について海外の報告を確認していきます

また次回以降に上述した小脳の機能解剖についてもまとめていければと思います