理学療法士の文献整理棚

リハビリ関係のアウトプット

日本神経理学療法学会参加型フォーラム(2017,11/4・5)に参加して

11月4日、5日と東京の首都大学東京荒川キャンパスで行われた日本神経理学療法学会の参加型フォーラムに参加してきました

 

フォーラムのテーマは"現状と未来の道標"

大会長は本学会長の千里リハの吉尾先生です

 

このフォーラムは参加型と銘打ち、参加者を含めたSIG(Special Interest Group)を形成し、神経理学療法が直面している問題に対してディスカッションするという新しい企画が催されました

 

このディスカッションが神経理学療法の"現状と未来の道標"を形作り、今後進むべき方向を共有していこうという意図でした

 

その中で吉尾先生は

 

学問の根幹を成す用語の定義(共同運動を例にして)が曖昧であるところに科学的な発展はない

 

理学療法士が病態や現象の普遍的言語化を怠ってきたため、脳障害の理学療法は目覚しい発展ができていない

 

とおっしゃっていました

 

それが神経理学療法の現在地点の総論的なものであり、SIGにより各論的な内容を討論する形が採用されたのかなと思いました

 

また現在、理学療法ガイドラインの改訂中であり、脳卒中部門の担当者たちもお話しされていました

 

理学療法士ガイドラインを使えないどころか、ガイドラインがどういうものか知らない

 

こういう切り口から学会で提言されるのは、私は初めて見ました

 

私の職場に理学療法ガイドラインを適切に理解、使用しているスタッフは何人いるのでしょうか…

私も知ったかぶりだったと反省している1人です

 

このガイドラインが、理学療法の普遍性を担保するものに発展していくことが大切であり、そのためには自分たちで知見を挙げていくしかない

 

そう思いました

 

 

またシンポジウムの中では福岡国際医療福祉大の玉利先生からMRIについてのお話が印象的でした

 

近年拡散テンソルトラクトグラフィーにより神経路を可視化できるようになってきています

理学療法士分野では、韓国からの報告で皮質脊髄路や皮質網様体脊髄路を綺麗に可視化したものが論文に載りました

 

元々皮質網様体脊髄路は姿勢制御の観点から注目されてきていました

 

しかし皮質脊髄路ほど明確な経路を示した文献や書籍は出回っておらず、ましてMRIでどのスライスにどのように…なんてところは診る人によってまちまちのような感じでした

 

そんな中、先ほどの韓国からの論文には以下のように綺麗に示されました

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 (Sung Ho Jang,2013.)

(その他、pubmedでcorticoreticular pathwayと検索すれば何本か、freeのものがみれると思います)

 

これを引用して他の症例の画像評価に役立てた人は私を含めたくさんいたと思います

 

あれだけ限局して、明確に示されればそうなります、至極自然です

 

しかし玉利先生はあれだけ綺麗に抽出するのは難しい、よっぽどのチャンピオンデータだとお話しされていました

(妥当性が乏しいというのが本音な印象でしたが、チャンピオンデータという大人な発言をされていたように捉えましたが笑)

 

SIGの中でも先生は画像は病態解釈の一助であって、それで動作能力を期待できないし、画像だけで物を言うのは危険だという趣旨のお話をしていました

 

 

機器についてや解析について知識がないが、発展したら理学療法士に役立つ分野なため、出てきた報告を疑わず丸呑みしてしまう危険性をはらんでいると知ることができました

 

間違った解釈や良いところだけをフォーカスしたセラピストが、また別のセラピストにミスリードする可能性があります

 

すでにミスリードは進んでいるのかもしれません、もちろん私を含めて

 

 

この2日で得たものを消化しつつ、自分の病院に還元できるように働きかけていきたいと思います