半側空間無視のリハビリテーション④
前回は注意のネットワークの知見からUSNを捉えていき、腹側注意ネットワークの重要性について書きました
しかしそのメカニズムを理解すると、今まで私たちが行ってきたアプローチは果たして正しかったのか?という疑問が生じます
左を向いてください
もっと左です
左にいる私の顔が見えますか?
右から左に輪を移動させてください
などなど
これら全て能動的注意を利用しています
能動的注意ばかり働くと、机上検査はカットオフ以上なのに日常生活では無視症状が出るといった解離を認めることがあります
逆に能動的注意が障害され、受動的注意が残存している場合は、意図的に注意を集中できないわけですので、注意散漫な状態です
ただし、能動的注意と受動的注意はネットワークを形成していますのでどちらかが一方的に機能低下しているという考え方は、誤りかなと思います
そのため個人的にですが、
能動的注意=集中
受動的注意=気づき
のように枠組み的に捉えると臨床的にも評価しやすい印象です
関節や筋、歩行となるとかなりミクロな解釈をするのに対して
USN→左向けない→左を向かせる練習
といった短絡的な解釈となりやすいです
能動的注意や受動的注意を知っているだけでも少し掘り下げた治療展開ができるのではないでしょうか?
USNに詳しい方からするとまだまだ考え方が浅いと思われるかと思いますが、まずは浅くても1段階掘り下げることに注力すべきです
0を1にするのが一番大変なはずです
そこを知っている側の人が、身近な知らない側の人に、易しく啓蒙していくことが大切です